夏休み読書記録 その8


『メディア・コントロール ー正義なき民主主義と国際社会』/ ノーム・チョムスキー 著(集英社新書)

 生成文法理論で世界的に著名な言語学者チョムスキー氏ですが、ベトナム戦争以来、歯に衣着せぬ言論で米国の対外政策を厳しく批判し続けています。そんな彼が政府による世論工作、例えば世論形成にメディアが大きな役割を果たしてきたことなどについて、バッサリしています。ふだん何気なしに見ているテレビや広告などが、実は周到にデザインされたものであって、我々は気付かずにその意図に従ってしまっているのではないか、ということが語られます。
 後半は作家・辺見庸との対談です。チョムスキーの、この国(合衆国)ほど自由な国はない、というのがアイロニカルに聞こえてしまうところに、米国の、しいては現代社会の病理が現れているような気がします。

 ※本書のお陰で大学のとき使った言語学の教科書を引っ張り出して読み直しちゃいました。たしか生成文法論ってやつが出てきてから頭が混乱しちゃった記憶があったので、もう一度!と。さすがに今読んだら少しは分かった。やっぱり今ある枠組みに囚われず、そこを抜け出して行くぐらいの気持ちがないと面白くないな、って思った。

Posted: 金 - 10月 17, 2003 at 07:36 åflå„        


©